旅の現象学

2012年から2013年にかけてのユーラシア大陸自転車旅行の記録です。

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 バンコクは想像していた以上に大都会だった。西洋の都市のように明確な中心がなく、広い範囲に様々な特色を持つエリアが広がっているところとか東京とかなり似ている。

 多くの日本人が住んでいるだけあって、バンコクには日本にあるものが大抵ある。伊勢丹や東急百貨店があり、その造りもエスカレーターを中心にした日本でなじみのもので、例のごとく最上階にはレストラン街がある。当然のようにそこには日本食のレストランもたくさん並んでいる。日本の本を専門に扱う本屋も各所にあって、発売されたばかりの村上春樹の新刊が平積みされていたりする。セブンイレブンやファミリーマートが日本より多いんじゃないかというくらいいたるところにあり、品揃えや陳列方法もほとんど日本と変らない感じで、つい少年ジャンプを探してしまいそうになるくらい。肉まんやおでんなんかも置いてある。

 たぶん旅の最初らへんに来たのであれば、普通に受け止めていたのだろうけど、日本と異なる文化圏の国々を通ってきた後だから、一気に日本に近づきすぎて半分くらい帰ってきたような気すらした。

大きなショッピングセンターやホテルなどが並ぶサヤームスクウェア周辺の景色。
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屋台や露店がずらーっと並ぶ光景はバンコク独特。
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チャオプラヤー川やそこから延びる運河が街の中に広がっているため、水上の交通が発達している。
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安宿や旅行者向けの施設が並ぶバックパッカーのメッカ、カオサン通り。僕もここに滞在していたのだけど、正直あんまり好きになれなかった。ポカラ、カトマンドゥ、そしてここと連続してこういうエリアに滞在したけど、どうも西洋人のバックパッカー達が作り出す空気が肌に合わないらしい。活気があるエリアだけど、その活気もどこか作られたもののような感じがして、どうにも馴染めなかった。
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有名な寺院もいくつか周ってみた。こちらは仏教国タイの護国寺、ワットプラケオ。
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すぐ近くのワットポーにある全長49メートルの寝釈迦仏。
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チャオプラヤー川の対岸にあるワットアルン。
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 バンコクについて四日目の夕方、カトマンドゥから数えて一週間ぶりに自転車に乗り、80km先のアユタヤに向かって走り出した。走らない日を重ねるにつれ、一日がするっと手元から逃げていくような焦燥感が強くなってきていた。自分がこの旅に求めているものは、どこかで何かを見ることじゃなくて移動することなんだなと再認識する。自分の体を自分の力で新しい場所に運んでいくことには、たとえそこに実際的な意味がなくても、何か具体的な手応えのようなものがある。焦燥感は日常でも度々感じていた。もうすぐ旅は終わるけど、日常でも自転車での移動に代わる何かを見つけられればと思う。

 バンコクの都市圏を抜けるまでの道沿いの雰囲気は何となく規模を大きくした八王子のような印象があった。都会だけど、個人的な商店や飲食店が沢山残っていて、景色に賑わいを与えている感じとか。建物も道路も街路樹もどこがどうとは具体的には言えないのだけど、すごく日本ぽくて海外を走っているという感じがあまりしなかった。
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道路沿いにはコンビニがたくさんある。
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コンビニに並んでいた日本だとクレームがきそうなネーミングのお茶。ちなみに後日飲んでみたのだけど、甘くて炭酸入りでお茶っぽさの全くないやくざなお茶だった。
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 その日は道沿いの安いホテルに泊まって、翌日、アユタヤまで走った。アユタヤまでの道のりには、日本の小型のイオンみたいなショッピングモールが何軒かあって、僕は見つける度に中に入った。四月のタイの暑さを凌ぐためというのもあるけど、何よりもそこが自分の家にいるみたいに落ち着く場所だったから。他の国でも度々ショッピングモールには入ったけど、そんな感覚はなかった。入っている店とか、歩いている人の感じとか、建物の造りとか、匂いとか色々なものが自分が馴染んでいたものと違っていたからだと思う。でもタイのショッピングモールは僕が日本で馴染んでいたショッピングモールだった。僕は、そこで目にする光景や、ぼんやりと漂っている匂いに自分の形のない記憶が染みついていることに驚いた。そして忘れていたとても懐かしいものと再会したような感慨を覚えた。

ショッピングモール。ミスドがある。
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 カトマンドゥやバンコクで何度か日本で食べるのとそん色のない日本食を食べた。久しぶりに食べる日本食は美味しかったけど、思っていたほどの感激はなかった。例えばそれは一カ月ぶりにラーメンを食べたり、寿司を食べたりするのとあまり変わらない。そこには再会の驚き、喜びみたいなものがなかった。でもそれについて考えたことや思い出したことなんて一度もなかったショッピングモールにはそれがあった。予期せぬものの中に故郷を発見した感じで嬉しかった。うさぎおいしかのショッピングモール。

 そんな訳でタイに入って距離的にも心的にもぐっと日本が近くなり、旅の終わりが近づいてきているのをこれまでに増して感じている。

225日目の走行距離約36km(ロカ岬からの走行距離10345km)
226日目の走行距離約61km(ロカ岬からの走行距離10406km)
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コメント

♪うさぎおいしかのショッピングモール~♪
     ・・・ふむふむ

長かった旅の終わりが近ずいていることをようやく実感してます。   
最後まで安全な旅でありますように・・・

Re: タイトルなし

ありがとう。最後まで気を緩め過ぎずに旅を続けます。

> ♪うさぎおいしかのショッピングモール~♪
>      ・・・ふむふむ
>
> 長かった旅の終わりが近ずいていることをようやく実感してます。   
> 最後まで安全な旅でありますように・・・

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さんふぃ

Author:さんふぃ
ポルトガルロカ岬から、日本に向かって主に自転車で旅行中です。

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