旅の現象学

2012年から2013年にかけてのユーラシア大陸自転車旅行の記録です。

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再出発初日、元旦と二日で走ったイズミットまではバスで移動し、夕方、自転車をこぎだす。ちょっと心配だった膝も順調。やっぱり前回は、単に急に使いすぎたことで一時的に痛くなっていただけらしい。出発初日は二三時間軽く走り、イズミットから30km程の地点のガソリンスタンドで泊まった。

二日目は朝早くに起きて走り出す。内陸の高地に向って、ゆっくりと登っていく。
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100km程走った時点で日が暮れてきたので、泊まる場所を見つけようと走っていると、マウンテンバイクに乗った中学生くらいの少年に話しかけられ、そのまま家に招待され、食事をごちそうしていただき、下のガレージにテントを張らせてもらえることになった。

家に招待してくれたフルカン君。
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ボレクというトルコ料理を作ってるお母さん。
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料理が出来るのを待ってる間は少年と少年の妹と折り紙で遊んだりしていた。
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食事の後、いただいたチャイを飲みながら、僕は旅の最初の頃に感じていた見返りを求めない親切に対しての驚きを伴った感動が、何度か似たような経験をする内に大分薄れていることを感じていた。少し寂しい気もしたけど、出来毎の新鮮さが薄れるのは当然と言えば当然なので、まあそんなものだろうと思いながらチャイをすすっていた。

飲み終えると、少年がもう一杯飲むかを尋ねてきた。僕はトルコ語でありがとうを言い、少年からおかわりをもらった。すぐにお母さんが静かな動作で、テーブルの端に置かれた小皿に盛られた砂糖をそっと僕の方に置きなおす。僕がまたありがとうと言うと、お母さんは柔らかく微笑んだ。そのとき、僕はこの家に招待されて初めて、暖かいものが自分の中に込み上げてくるのを感じた。

それをきっかけにどうやら閉じていた感受性が開いたらしい。自分が読んだ本を次々に見せてくる少年の表情、ガレージにテントを張るときに何も手伝えないのにとことこ付いてくる女の子の様子、お父さんのウインク、それらに触れる度、やさしいものが自分の中に浸み込んでくるのを感じた。でもそれらは僕が気付く前からそこにあったものだと思う。

テントの中でその意味について考える。
出来毎の新鮮さは何度も似たようなことを経験する内に当然色あせていく。でもその出来毎の細部には決して色あせえないものがある。ただそれは、出来毎の新鮮さほどダイナミックに心をノックするものじゃないから、自分が心を開いていなければ見過ごしてしまう。今回砂糖をくれたお母さんの微笑みに出会う前の僕はそうだった。

これは旅だけではなく、日常についてこそより強く言えることだと思う。日常において繰り返すことの単調さは旅をしているときよりもはるかに力強く僕に対して影響力を持っていて、僕はそれに飲み込まれがちだ。でもその中に埋もれさせてしまっている色あせないものにアンテナを向けて生きていければ、旅が終わっても、旅をしているように生きていくことが出来る気がした。今の時点でそれが出来るかは正直分からないけど、とりあえずそこに気付けて良かった。

翌日、まだ日が昇っていない六時半に学校に行く少年を見送り、工事現場務めで朝帰りのお父さんを待ち、一緒に朝食をとった。
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パンを石油ストーブの上で焼く。
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朝食後はお父さんと娘さんに見送られて、ボルと言う街に向けて出発!
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126日目の走行距離約32km(ロカ岬からの走行距離5702km)
127日目の走行距離約98km(ロカ岬からの走行距離5800km)
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コメント

No title

膝は大丈夫ですか?
むりはしないでくださいね。

感じる心は時には邪魔になることもあるけど、心の宝物になることのほうが遥かに大きいとおもいます。
色んなことを感じさせたくれてありがとう。
宝物を増やして行こうと思いました。

安全な旅を続けてくださいね。

No title

はじめまして、同じ自転車に乗ってる者です。

純正のサドル、めちゃめちゃおしりが痛くなりませんか?
僕はすぐに変えてしまいましたw

これからも旅を楽しまれて下さいね。



Re: No title

ありがとう!膝は順調だよ。
こちらこそこれまで色々ありがとうね。

> 膝は大丈夫ですか?
> むりはしないでくださいね。
>
> 感じる心は時には邪魔になることもあるけど、心の宝物になることのほうが遥かに大きいとおもいます。
> 色んなことを感じさせたくれてありがとう。
> 宝物を増やして行こうと思いました。
>
> 安全な旅を続けてくださいね。

Re: No title

おお、仲間ですね!
コストパフォーマンス抜群の良い自転車ですよね。
僕は相性が良いのか、サドルも快適です^^

> はじめまして、同じ自転車に乗ってる者です。
>
> 純正のサドル、めちゃめちゃおしりが痛くなりませんか?
> 僕はすぐに変えてしまいましたw
>
> これからも旅を楽しまれて下さいね。

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さんふぃ

Author:さんふぃ
ポルトガルロカ岬から、日本に向かって主に自転車で旅行中です。

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