旅の現象学

2012年から2013年にかけてのユーラシア大陸自転車旅行の記録です。

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宿を出て20km程でクロアチアの国境に着いた。この旅を始めて初めてのアクティブな国境。ここから先は通貨もユーロからクーナになる。
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20kmほど峠を下っていくとアドリア海に面したクロアチア最初の町(小さな集落は除く)が見えてきた。
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町に入り、すぐにここが今まで通ってきた町とは違う町なのだと感じた。具体的にどこが違うと言うのは難しいけど、歩いている人の表情、植えてある植物の種類、建物の色合いなど色々な要素の組み合わせが僕にそういう印象を与えたのだと思う。ちょうど十二時の鐘が鳴っていた。世界がどこまでも広がっているような気がしてそれがたまらなく嬉しかった。

そこから更に10km程進んだリエカという街。
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しばらく海沿いの道をこいでいく。複雑に入り組んだ入り江、沖に浮かぶ大小様々な島々が作り出す海岸線は絶景の連続だった。
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翌日も絶景が続く。
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海の透明度がやばい。鼻をつく潮の匂いが全くしないので真水のように思えてくる。
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 セニと言う町までずっと海岸沿いを走った。セニに着いたのは12時頃。この日はここから内陸部に向かって80km程走り、プリトヴィツェ湖群国立公園近くの宿まで走る予定を立てていた。ただでさえタイトな予定だった上に、セニで明らかに長期旅行をしている人の自転車が二台並べて置かれているのを見つけ、持ち主を待っていたら出発するのがかなり遅れてしまった(二台の自転車はアメリカ人の若い夫婦の旅行者のものだった。彼らも僕と同じくイスタンブールを目指しているとのことなので、たぶんこれから先も会うことになると思う)。
  
 地図を見て、セニからしばらくは山を登ることが分かっていた。僕はふだん一人で山を登るときは途中で何度も止まりながらゆっくり登るのだけど、時間がおしていたので、自転車を降りずに登れるところまで登ってみようと決めた。最初は軽い気持ちで決めたことだったのだけど、ペダルを1000回回すまで、次の大きな上り坂を越えるまでと、何度か小さな目標をクリアしていくうちに、いつからかここで自転車を降りたらそこで自分の限界が決まってしまうような気がしていた。それで僕は、頭や心でどこまで登るのかを決めるのではなく、体が本当に動かなくなるまで登り続けようと決めた。

 埃をかぶったバッテリーを一つ一つ目覚めさせていくような感覚を覚えながら、自分でも驚くほど長い時間登り続けることが出来た。途中で小学五年生のときの縄跳び大会のことを思い出した。運動があまり得意ではない僕だけど、そのときは自分のどこからかエネルギーを引き出し続けることが出来て、ふだんよりずっと長い時間飛び続けることが出来たのだ。それ以来、その時ほど自分のリソースを使いきってからっぽになれたことはなかったと思う。自転車をこぎ続けながら、本当に体が動かなくなるまでこの山を登り続けることが出来たなら、その時の自分に届きそうな気がしてきていた。

 結局、それは叶わないまま終わった。標高700mの標識を越えた時点で峠が終わってしまったからだ。その後もずっと道は続き、降りずに自転車をこぎ続けたけど、平坦な道で山を登っているときの感覚はなかった。最終的に日が沈んだ後、夜道を走る準備をするために自転車を降りた。体が動かなくなるまでこぎ続けるという目標は叶わなかったけど、自分の中に重みのあるエネルギーの塊のようなものを感じた。

降りた時点で、走った距離は45km、時間は約三時間半だった。 
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58日目の走行距離約101km(ロカ岬からの走行距離3535km)。
59日目の走行距離約114km(ロカ岬からの走行距離3649km)。
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さんふぃ

Author:さんふぃ
ポルトガルロカ岬から、日本に向かって主に自転車で旅行中です。

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